瀬戸内市牛窓で多くのファンを魅了してきたイタリアンレストラン「acca(アッカ)」が閉店しました。林冬青シェフが手掛けるaccaは、東京・広尾から牛窓へ移転後も独自の料理哲学を貫き、地元の食材を活かした極めてストイックな料理で知られていました。
accaの歴史と牛窓での展開
accaは元々、東京・広尾で人気を博していたイタリアンレストランでした。2013年に広尾店を閉店後、2014年に岡山県牛窓へ移転オープン。この移転の背景には、林シェフの母親の介護という個人的な理由と、より本質的な料理を追求したいという職人としての想いが込められていました。
牛窓での営業では、予約は官製はがきでのやり取りのみという独特なスタイルを採用。SNSやグルメサイトへの掲載も極力控えめにし、料理の写真撮影も禁止するなど、かなりストイックな姿勢を貫いていました。
新店舗「sowai」への進化
閉店後、林シェフは同じく牛窓で新店舗「sowai(そわい)」を開店しました。「魚礁(そわい)」という名前の由来には、たくさんの魚が集まる岩場という意味が込められており、地域の食材と向き合う林シェフの料理哲学がより一層深化した形で表現されています。
閉店から新店舗開業までの経緯
accaの閉店から「sowai」開業への移行には、以下のような要因が考えられます。
より純粋な料理追求への意志
- 地元食材との更なる密接な関係構築
- より本質的な料理表現への追求
- 無駄を削ぎ落としたシンプルな調理法の追求
営業スタイルの見直し
- コロナ禍での来店客層の変化への対応
- よりお客様との距離感を近づけた店づくりへの転換
- 家族経営の形態をより効率的に運営する必要性
地域との関係性の深化
- 地元漁師や生産者とのより密接な関係構築
- 牛窓の食材をより深く理解し活用する姿勢
- 地域に根ざした店づくりの実現
sowaiでの新たな挑戦
新店舗「sowai」では、以下のような特徴的な取り組みが行われています。
- 予約は官製はがきでのやり取りを基本とし、より丁寧な顧客対応を実現
- SNSやグルメサイトへの掲載を控えめにし、料理本来の価値に集中
- 薪窯を使用したオリジナル料理「パーネ」の開発
- 前島での小麦栽培など、より地域に密着した食材調達
地域への影響と評価
accaから「sowai」への転換は、単なる店舗の改装や名称変更ではなく、林シェフの料理哲学のさらなる進化を示すものでした。地域の食材を最大限に活かし、必要最小限の調理で素材の持ち味を引き出すという姿勢は、新店舗でより一層際立っています。
地元客を中心とした予約制の営業スタイルは、地域に根ざしたレストランとしての在り方を示す好例となっています。また、前島での小麦栽培など、地域の資源を積極的に活用する取り組みは、地域活性化にも貢献しています。
今後の展望
林シェフの新たな挑戦は、現代の外食産業のあり方に一石を投じるものとなっています。SNSや情報発信に頼らず、純粋に料理と向き合う姿勢は、本質的な価値を追求するレストランの新しいモデルケースとなる可能性を秘めています。
「sowai」での取り組みは、地域資源を活用した持続可能な店舗運営の形を示すとともに、料理人としての究極の理想を追求する姿勢を体現しています。今後も林シェフの料理哲学は、多くの食の専門家や愛好家たちの注目を集め続けることでしょう。
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