池袋の象徴が消えたあの日から。東急ハンズ池袋店跡地と、変わりゆくサンシャイン通りの「今」

住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目28−10

池袋東口、サンシャイン通り。あのオレンジ色のロゴが街の目印だった時代が、遠い過去のように感じられるかもしれません。

2021年10月、多くのファンに惜しまれつつ37年の歴史に幕を閉じた「東急ハンズ(現:ハンズ)池袋店」。DIY愛好家からクリエイター、そして「何か面白いものがあるはず」と足を運ぶ人々にとって、あのビルは単なる商業施設ではなく、池袋という街の知的好奇心を象徴するランドマークでした。

閉店から時間が経過し、跡地には「ニトリ」が出店。街の風景は一変しました。今回は、地域情報のスペシャリストとして、ハンズ閉店の裏側と、跡地がもたらした「人の流れの変化」について深く考察します。


1. なぜ「池袋の顔」は消えなければならなかったのか?

1984年の開店以来、池袋の文化を支えてきたハンズ。その閉店理由は、単一の要因ではなく、複数の「時代の波」が重なった結果だと言えます。

老朽化という避けられない壁

最大の要因の一つは、建物の老朽化です。築37年を超えたビルは、維持管理コストが増大し、現代の耐震基準やバリアフリーへの対応、さらには最新の物流システムを組み込むには限界がありました。

賃料高騰とビジネスモデルの乖離

サンシャイン通りは、都内でも屈指の超一等地です。

  • eコマースの台頭: ネットで何でも買える時代、大型店舗で在庫を抱える「ショールーム型」の経営は苦境に立たされました。
  • 賃料の重圧: 地価の上昇に対し、DIY用品や雑貨の客単価では、この場所の「家賃」に見合う利益率を維持するのが困難になったと推測されます。

運営会社の戦略転換

カインズによる買収など、ブランド自体の変革期に重なったことも影響しているでしょう。不採算店舗の整理と、より効率的な都市型店舗(アトレ内など)へのシフトという、業界全体の潮流に飲み込まれた形です。


2. 跡地の行方:ニトリがもたらした「新たな人の流れ」

ハンズ閉店後、その広大なフロアを引き継いだのは家具・インテリア大手の「ニトリ 池袋サンシャイン60通り店」(2023年1月オープン)でした。

一等地にニトリが出店した背景には、明確な戦略が見て取れます。

なぜ「ニトリ」だったのか?

新宿や渋谷でも同様の傾向がありますが、ニトリは現在、郊外型から「都心ターミナル駅戦略」へシフトしています。池袋周辺で進む再開発(タワーマンション建設ラッシュ)により、近隣に住む現役世代の家具需要が急増しているためです。

跡地活用の「未来予測」

現在はニトリが入居していますが、不動産のプロ視点で見れば、この場所は「いつ大規模再開発が始まってもおかしくない場所」です。

  • 数年~十数年後のシナリオ: ニトリの契約満了に合わせ、隣接する建物を含めた一体的な再開発。
  • 具体案: 低層階に商業施設(スーパー、ドラッグストア、高級アパレル)、中層階にオフィス、高層階に高級賃貸マンションという、現在の池袋東口のトレンド(Hareza池袋など)を踏襲する可能性が極めて高いでしょう。

3. 地元の声と今後の影響:サンシャイン通りはどう変わったか

ハンズからニトリへ。この変化は、サンシャイン通りの「歩き方」を根本から変えました。

「目的買い」の街への変貌

かつてのハンズは、特に用がなくても立ち寄る「回遊型」の顧客が多いのが特徴でした。しかし、ニトリは「これを買う」と決めて来る「目的型」の顧客が中心です。

  • 客層の変化: 若者やサブカル層に加え、ファミリー層や新生活を始める単身者が目立つようになりました。
  • 滞在時間の変化: 店舗内での滞在は効率化されましたが、その分、周辺のカフェや飲食店への波及効果は以前と異なる形(より実利的な利用)に変化しています。

周辺住民の本音

「ハンズがなくなって不便になった」という声がある一方で、「ニトリができて生活必需品が揃いやすくなった」という歓迎の声も少なくありません。
池袋は今、「遊びに行く街」から「住む街」へと急速にアップデートされています。ハンズの閉店は、その変化の象徴的な通過点だったのかもしれません。


4. まとめ:変化を受け入れ、進化する池袋

「ハンズ前で待ち合わせ」という言葉は、少しずつ死語になりつつあります。しかし、あの場所が池袋の熱源であった事実は変わりません。

東急ハンズ池袋店跡地の現在地:

  • 現在はニトリが入り、都心居住者の生活を支える拠点となっている。
  • 建物の老朽化を考慮すると、将来的に大規模な複合ビルへの建て替えの可能性が濃厚。
  • 街のカラーは「趣味・文化」から「ライフスタイル・居住」へと緩やかにシフトしている。

私たちは今、池袋という街が持つ「懐の深さ」が、新しい形に書き換えられる瞬間に立ち会っています。ハンズが教えてくれた「新しいものに出会うワクワク感」を、これからの池袋がどのような形で提供してくれるのか。

一人のライターとして、そしてこの街を愛する一人として、サンシャイン通りの次なる一歩を注視していきたいと思います。


筆者:池袋エリア特化型ライター
月間100万PVの地域情報ブログを運営。変わりゆく街の景色を、独自の視点とデータで切り取ります。

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