渋谷という街の「品格」を支え続けてきた、ひとつの時代が幕を閉じました。
2023年1月31日、惜しまれつつも55年の歴史に句読点を打った「東急百貨店 本店」。
住所:〒150-8019 東京都渋谷区道玄坂2丁目24−1

かつては「文化村通り」の終着点として、また高級住宅街・松濤(しょうとう)への入り口として、多くの文化人やセレブリティに愛された場所でした。閉店から数年が経過しようとしている2026年現在、巨大な仮囲いの中では、2027年の竣工に向けた「世紀の再開発」が着々と進んでいます。
今回は、地域情報ブログの専門ライターとして、跡地に誕生する超高層複合施設の最新動向と、なぜあの一等地が生まれ変わらなければならなかったのか、その舞台裏に迫ります。
1. 地域の象徴だった「東急本店」の歩みと閉店の衝撃
1967年の開店以来、東急本店は単なる商業施設ではありませんでした。隣接する「Bunkamura」と共に、渋谷に「若者の街」だけではない、「大人の文化」を根付かせた立役者です。
閉店のニュースが流れた際、地元住民や長年のファンからは「デパ地下がなくなるのは困る」「松濤の風景が変わってしまう」といった悲鳴に近い声が上がりました。しかし、この決断は単なる一店舗の撤退ではなく、渋谷駅周辺で進む「100年に一度」と言われる大規模再開発の重要なラストピースだったのです。
2. 閉店の真相:なぜ「今」だったのか?
華やかな歴史を持つ東急本店が、なぜこのタイミングで幕を下ろしたのか。そこには、現代の百貨店業界が直面する厳しい現実と、渋谷という街の地殻変動がありました。
構造的な老朽化と維持コスト
開店から半世紀以上が経過し、建物の老朽化は深刻な課題でした。耐震基準の強化や、最新のITインフラへの対応には、莫大な改修費用がかかります。建て替えは避けて通れない選択肢でした。
「モノを売る場所」からの脱却
近年、消費者のニーズは「モノ」から「体験(コト)」へとシフトしています。従来の百貨店モデル(仕入れ販売)では、賃料高騰や人件費不足に対応しきれなくなっていました。検索データや業界動向を分析すると、都心の一等地ほど「百貨店単体」での運営よりも、「多機能な複合ビル」への転換が収益性を高める定石となっています。
渋谷の「重心」の変化
渋谷スクランブルスクエアや渋谷フクラスの誕生により、街の回遊性が大きく変わりました。駅直結の利便性が重視される中、駅から徒歩数分を要する本店跡地には、「わざわざ足を運ぶ価値」のある、よりプレミアムな空間が求められたのです。
3. 気になる跡地の行方は?「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」
現在、跡地では東急グループ、L Catterton Real Estate、Swire Propertiesの3社による共同プロジェクト「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」が進行しています。
2027年度の竣工を目指すこの建物は、地上36階、地下4階。高さ約164.8メートルの超高層ビルへと生まれ変わります。
【予測1】世界最高峰の超高級ホテル「ザ・ハウス・コレクティブ」
アジアで高い評価を受けるラグジュアリーホテル「ザ・ハウス・コレクティブ」が日本初上陸すると目されています。単なる宿泊施設ではなく、アートや文化を融合させた、世界中のセレブリティを呼び込む拠点となるでしょう。
【予測2】究極の賃貸レジデンス
上層階には、渋谷を一望できる超高級賃貸レジデンスが計画されています。コンシェルジュサービスはもちろん、ホテルの付帯施設を利用できる「ホテルライクな暮らし」を体現する、国内屈指の物件になる可能性が高いです。
【予測3】洗練された商業施設と「Bunkamura」との融合
低層階には、かつての本店のDNAを引き継ぎつつも、よりエディトリアル(編集的)な商業施設が入る予定です。隣接するBunkamuraも大規模改修を経て一体化されるため、「上質な日常と文化」が融合した、これまでにない空間が期待されています。
4. 地元の声と今後の影響:私たちの生活はどう変わる?
再開発に対して、周辺住民やビジネスマンからは期待と不安が入り混じった声が聞こえてきます。
- 「デパ地下の復活を!」: 多くの主婦層が熱望しているのが、高品質な食材が揃う食料品売り場です。新施設でも、高級スーパーやこだわりのデリが入ることは確実視されています。
- 「人の流れの変化」: これまでの本店周辺は比較的落ち着いた雰囲気でしたが、超高層ビル化により観光客やビジネス客が急増する可能性があります。松濤エリアの静寂と、新たな賑わいをどう共存させるかが鍵となります。
- 「不動産価値の向上」: この再開発により、周辺の地価はさらに強含みで推移すると予測されます。「奥渋」エリアへの波及効果も大きく、渋谷全体のブランディングが一段階引き上げられるでしょう。
5. まとめ:感謝と未来への展望
東急百貨店 本店が刻んだ55年の歴史は、決して消えることはありません。それは、新しく誕生する2027年のランドマークの中に、「渋谷の品格」というDNAとして受け継がれていくはずです。
2026年現在、工事は佳境を迎えています。仮囲いが取れたその時、私たちは再び、あの文化村通りの坂を誇らしい気持ちで登ることになるでしょう。
かつての「本店の思い出」を胸に、世界が注目する「新しい渋谷」の誕生を、今は静かに待ちたいと思います。
執筆:地域情報ブログ専任ライター
渋谷の街を歩き続けて15年。再開発の最前線から、皆さんの暮らしに役立つ情報を発信しています。


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