『孤独のグルメ』放送開始から12年。番組を通じて紹介された数々の名店の中には、残念ながら閉店を迎えたお店もあります。この記事では、これまでに閉店した29店舗について、その理由や現在の状況を詳しく解説していきます。
最新の閉店状況(2024年12月現在)
番組登場店舗の現状
- 全登場店舗:243店舗
- 営業中:214店舗
- 閉店:29店舗(閉店率11.9%)
- 移転営業中:5店舗
一般的な飲食店の年間閉店率が約15%と言われる中、『孤独のグルメ』登場店の閉店率は比較的低い水準にとどまっています。
シーズン1の閉店店舗(4店舗)
ロコディッシュ(第4話/千葉県浦安市)
閉店日:2012年3月11日
- 閉店理由:東日本大震災の影響
- 名物メニュー:静岡おでん
- 店主コメント:「震災による打撃から立ち直れず、断腸の思いでの閉店となりました」
- 現在:建物は別の飲食店として営業中
湘南はまだこ(第9話/東京都世田谷区下北沢)
閉店日:2012年4月
- 閉店理由:店主の体調不良
- 特徴:関西風たこ焼きの人気店
- 名物:ソース×マヨネーズの黄金比率が評判
- 現在:同業種の店舗が出店
せきざわ食堂(第10話/東京都豊島区東長崎)
閉店日:2014年5月
- 閉店理由:茨城県への店舗移転
- 看板メニュー:しょうが焼き目玉丼(780円)
- その後:キッチンSALAとして茨城県鹿嶋市で営業中
- 移転の背景:店主夫婦の故郷での再出発という夢を実現
木山ダイニング(第12話/東京都目黒区中目黒)
閉店日:2012年
- 特徴:沖縄料理と創作料理の融合
- 名物:ソーキそば、アグー豚の天然塩焼き
- 閉店後:同エリアで別業態として再出発
シーズン2の閉店店舗(8店舗)
昭和堂(第1話/神奈川県川崎市新丸子)
閉店日:2016年3月
- 創業:1955年
- 閉店理由:店主の高齢化と体調不良
- 特徴:手作りあんこにこだわった町の甘味処
- 名物:クリームあんみつ(580円)
- 現在:建物は取り壊され、マンションに
つちや食堂(第7話/千葉県旭市飯岡)
閉店日:2020年7月
- 創業:1985年
- 閉店の経緯:
- 2011年:東日本大震災で被災
- 2016年:店主の夫が他界
- 2020年:コロナ禍による経営困難
- 名物メニュー:
- サンマのなめろう
- 赤貝のお刺身
- 地魚の煮付け
産直フーズとんパチ(第9話/東京都江東区砂町)
- 営業期間:1978年~2018年
- 閉店理由:後継者不在
- 特徴:砂町銀座商店街の人気精肉店
- 店主の想い:「40年間、地域の皆様に支えられました」
手作りの店さかい(第9話/東京都江東区砂町)
閉店日:2024年8月31日
- 閉店理由:諸般の事情
- 営業形態:惣菜店
- 人気メニュー:手作り弁当、日替わり惣菜
- 閉店後の声:「毎日のお惣菜が無くなって困る」という常連客の声多数
シーズン3~4の閉店店舗
でまる(第7話/東京都目黒区駒場東大前)
閉店日:2018年7月20日
- 閉店理由:建物老朽化による建て替え
- 特徴:駒場東大前の学生街で人気を集めた洋食店
- 名物:
- マッシュルームガーリック
- カキグラタン
- 手作りハンバーグ
カウカウカフェ(Season4第9話/東京都渋谷区神宮前)
閉店日:2015年3月
- 原因:日本青年館の取り壊し
- 特徴:ハワイアンテイストの明るい店内
- 人気メニュー:
- パンケーキ各種
- アサイーボウル
- コナコーヒー
2020年以降の閉店店舗
EAT(高井戸)
閉店日:2024年6月12日
- 営業期間:約40年
- 閉店理由:
- 店主の高齢化
- 後継者不在
- 建物の老朽化
- 名物メニュー:
- タンステーキ(1,800円)
- ミートパトラ(1,500円)
- 手作りハンバーグ(1,200円)
口福処 平五郎(虎ノ門)
閉店日:2022年5月31日
- 創業:1975年
- 閉店理由:店主の体調不良
- 特徴:昭和の雰囲気を残した老舗洋食店
- 人気メニュー:
- エビフライ定食
- カニクリームコロッケ
- オイスターチャウダー
移転して営業継続中の店舗
キッチンSALA(旧:せきざわ食堂)
- 移転先:茨城県鹿嶋市
- 移転理由:店主夫婦の故郷での再出発
- メニュー:東長崎時代の人気メニューを継承
- 現在の状況:地元客を中心に安定した営業
シャンウェイ(青山)
- 移転先:東京都渋谷区代々木
- 移転理由:再開発に伴う立ち退き
- 特徴:本格四川料理店
- 現在:より広い店舗で営業拡大
閉店から見える飲食業界の現状と課題
1. 人材問題
- 後継者不足
- 熟練職人の高齢化
- 若手スタッフの確保難
2. 経営環境の変化
- 原材料費の高騰(前年比20~30%上昇)
- 光熱費の増加(特に2022年以降)
- 人件費の上昇
3. 建物・立地の問題
- 建物の老朽化
- 再開発による立ち退き
- 家賃の上昇
存続店舗から学ぶ継続のポイント
1. メニュー戦略
- 原価率の見直し
- 季節メニューの導入
- テイクアウトの強化
2. 後継者育成
- 早期からの技術継承
- 従業員の待遇改善
- 営業時間の適正化
3. 顧客関係の維持
- SNSでの情報発信
- 常連客とのコミュニケーション
- 地域イベントへの参加
まとめ:閉店から学ぶ教訓
『孤独のグルメ』の閉店店舗からは、次のような教訓が得られます:
- 事業継続の基盤づくり
- 早期からの後継者育成
- 従業員の技術向上
- 経営の効率化
- 変化への対応
- 時代に合わせたメニュー開発
- 新しい販売方法の導入
- コスト管理の徹底
- 伝統の継承
- 看板メニューの維持
- 調理技術の文書化
- お店の想いの伝承
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